こんにちは。もぎです。
お酒は好きだけどめっぽう弱い、元バーテンが大好きなお酒について発信しています。
さて、短期集中連載としてワインについての基礎知識をテーマにいくつか連続で記事にしています!
第3回のテーマはワインの製造方法についてです。
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、おまけでスパークリングワインについても解説していきます。
前回の記事はこちらからどうぞ^^
それでは早速、いってみましょう!
赤ワインと白ワインの製造方法の違いは?
過去の記事で、赤ワインと白ワインで最も大きな違いは、2つとお伝えしました。
1つ目が、使われているブドウの種類。
黒ブドウを使うか、白ブドウを使うかです。
2つ目が、製法。
果実を破砕するときに果皮や種子も一緒に破砕し発酵させているか、果皮や種子を取り除いて果汁のみを破砕、発酵させているか、でした。
実はこの製法ですが、厳密にはさらに違いがあります。
具体的に言うと、圧搾のタイミングが赤ワインと白ワインで大きく異なります。
赤ワインの製造工程
工程順序は以下の通りです。
それぞれの工程について詳しくご紹介しましょう。
1.除梗・破砕
醸造前にブドウの房から粒を外し、苦味のあるヘタや柄などの果梗を取り除きます。
その後、果汁を出すために果皮ごと潰します。
2.浸漬・櫂入れ
タンクの中で2〜3週間、ブドウの果実と果汁をしっかり漬け込み、果皮の色素を果汁に移します。
この工程中に表面に浮き上がってくる果皮や果肉、種子などの層を、色がしっかり移るように果汁の中に押し込む「櫂入れ」という作業を行います。
3.アルコール発酵
色づいた果汁に酵母を入れて発酵を促し、ブドウの糖分をアルコールに転化させる工程です。
果皮からは赤い色素のアントシアニンが、種子からは渋味成分の担任が溶け出します。
発酵させる期間を調整することによって、色の濃淡の度合いや渋味のバランスを変えることが可能です。
4.圧搾
圧力をかけながら液体と固形物を分離する作業です。
ここで搾り取られたワインを「プレスワイン」といい、タンニンや色素を多く含みます。
一方で、加圧前に自然に流れ出るワインは、プレスしていないためエグ味が出ず、洗練された味わいになるため良質なワインになります。
5.熟成
ワインは2〜3週間かけて、タンクあるいは樽の中で熟成させ、アロマやストラクチャーを落ち着かせます。
長期熟成タイプの場合、二次発酵の「マロラクティック発酵」により、ワインに含まれるリンゴ酸をまろやかな乳酸菌に変化させ、酸味を和らげることもできます。
6.澱引き
タンクの底に溜まった余分な沈殿物を除去してクリアにします。
ここで酸化や腐敗を防ぐために酸化防止剤として少量の亜硫酸塩を加えるのが一般的です。
亜硫酸塩は昔からワインづくりには不可欠なもので、デリケートなワインの旨みや香りを守ってくれる働きがあります。
7.清澄・濾過
清澄剤(タンパク質の吸着剤)を使って浮遊物を吸着させ、ワインの濁りを取ります。
さらに、ワインの透明度や輝きを保つために微生物や不純物を濾過します。
ただし、ワインの味わいに重要な成分まで取り除いてしまう恐れがあるため、最近では無濾過のワインも多くあります。
8.瓶詰め
ワインは酸化を防ぐためにフィラーと呼ばれる注入機でボトルに窒素ガスを流し込み、酸素を抜いてから注入されます。
その後、コルクやスクリューキャップで栓をし、キャップシールをかぶせてラベルを貼ります。
すぐに出荷するものもあれば、瓶内でさらに熟成を進めるものなどさまざまです。
白ワインの製造工程
果汁のみを絞り出すため、赤ワインと異なり果皮の色を果汁に移すための浸漬・櫂入れの工程がありません。
また、圧搾のタイミングが破砕のすぐあとにくるのが特徴です。
1.除梗・破砕
赤ワインと同様、ブドウの果梗を取り除き、果皮が破ける程度に軽くつぶします。
ただし、白ワインの場合は果梗と一緒の方が果汁の通り道が確保されて絞りやすくなり、タンニンや酸をより多く引き出すことができるため、あえて除梗せずに圧搾する場合もあります。
2.圧搾
白ワインは破砕直後に搾汁するのが一般的です。
直後に圧搾機にかけて果皮や種子を取り除くことで、果汁だけを使用でき、白ワイン特有の澄み切った色味を生み出すことができます。
風味豊かな白ワインにするため、圧搾の前に果皮や種子と果汁を数時間漬け込むワイナリーもあり、この辺りはつくり手の腕の見せ所です。
3.沈殿
不純物が残っていると、ワインの状態が不安定になり味を損なう場合があります。
そのため、集めた果汁をタンクに入れてしばらく置くことで細かい澱を底に沈殿させて取り除きます。
ここでしっかり沈殿させることで、完成する白ワインの品質を保つことができます。
4.アルコール発酵
ブドウの糖分が全てアルコールになるまで発酵を進めれば辛口に、途中で酵母の活動を抑えると糖分が残って甘口になります。
白ワインの発酵温度は通常15℃〜23℃ですが、フルーティーな味わいを保つために、12℃〜17℃の低温発酵で作られる場合もあります。
5.熟成
早飲みタイプのワインに仕上げる方法と、長期熟成タイプに仕上げる方法とで熟成方法が異なりますので、別々にご紹介していきます。
爽やかな早飲みver.
フレッシュな早飲みタイプに仕上げる場合は、風味やバランスを安定させるために、ワインを「ステンレスタンク」に移してしばらく寝かせます。
酵母を残したまま澱の上で熟成させる方法もあれば、先に澱引きして酵母を取り除いてから熟成させる方法もあります。
コクのある長期熟成ver.
コクのある長期熟成タイプに仕上げる場合は、ワインを「樽」に移して二次発酵(マロラクティック発酵)させます。
発酵が長期にわたる場合は、定期的に櫂棒でかき混ぜることで樽材がもつ香味をワインに移してより深みのある味わいに育てます。
6.沈殿・澱引き
熟成後は静かに置いて酵母や不純物などの澱をタンクの底に沈殿させます。
ワインの透明度と輝きを高めるために、澱は遠心分離や濾過などで除去するのが一般的です。
特に、白ワインに含まれている酒石酸は低温状態で結晶化しやすいため、瓶詰め前に濾過します。
赤ワインと同じようにこのタイミングで酸化防止剤の亜硫酸塩を投入します。
7.瓶詰め
瓶詰めされたばかりのワインは激しく撹拌されているため、風味や味のバランスが不安定になってしまう「ボトルショック」という状態になりやすいです。
そこで、瓶詰め後しばらくは温度管理された倉庫で静かに寝かせ、落ち着いた頃に出荷されます。
その他のワインの製造方法
ロゼワインの製造工程
ロゼワインの製造方法は赤ワインに似た方法と、圧搾時に色付けして果皮を分離する方法と2パターンあります。
1.除梗・破砕
ブドウから果梗を取り除き、果汁が出やすいように果皮ごと軽くつぶします。
通常は黒ブドウのみを使用しますが、白ブドウも一緒に使用する「混醸法」でつくっているワイナリーもあります。
次に出てくる「直接圧搾法」によってブドウをプレスする場合は、破砕は省略されることが多いです。
2.直接圧搾法/セニエ法
ここで工程は2パターンに分岐します。
一つは白ワインと同様果汁とそのほかを分離する「直接圧搾法」。
もう一つは、赤ワインと同じように果汁を果皮や種子と一緒に漬け込んだままアルコール発酵させる「セニエ法」です。
それぞれ解説していきます。
直接圧搾法
黒ブドウを使って白ワインと同じように作るのが「直接圧搾法」です。
破砕・圧搾する時に、果皮から移る色素によってほんのり果汁が色づきます。
一般的には圧搾機で段階的に圧力をかけて色味をコントロールし、搾り取った果汁のみを使ってワインをつくります。
果皮との接触が少ないので、タンニン控えめの爽やかな味わいになります。
セニエ法
「セニエ法」とは、赤ワインと同じように果汁に果皮や種子を漬け込んだままアルコール発酵させる方法のことをいいます。
通常は8〜24時間漬け込み、ほどよく果汁が色づいたところで圧搾して果皮や種子を取り除きます。
この後、さらに果汁のみを発酵させます。
直接圧搾法に比べてワインの色は濃いめに、香りも華やかになります。
3.沈殿
集めた果汁をタンクでしばらく静かに置き、ワインの中に浮遊する酵母や酒石酸、たんぱくなどの不純物を底に沈殿させて取り除きます。
この沈殿の作業を行うことで、ワインの香りがよりはっきりしたものに変わり、色調もより洗練された美しいピンク色になります。
味わい深くなるか、すっきり仕上がるか、ここで風味が決まります。
4.アルコール発酵
酵母が糖分をアルコールに変えていき、ワインの味わいや全体のバランスが形作られます。
つくり手のイメージする味に合わせて10日〜30日ほどかけて発酵が続きます。
発酵の期間が短いほどワインの中に糖分が多く残るため甘口に、時間をかけるほど辛口のワインに仕上がります。
5.熟成・瓶詰め
ロゼの場合、木樽熟成やマロラクティック発酵が行われることはあまりありません。
味わいを落ち着かせるためにタンクで数週間ほど寝かせ、瓶詰めする前に必要に応じて酸化防止剤である亜硫酸塩の添加やアッサンブラージュ(調合)、清澄、濾過などの作業が行われます。
おまけ:スパークリングワインの製造工程
二次発酵が瓶内で行われることがスパークリングワインの一番の特徴です。
発生した炭酸ガスが逃げることなくワインの中に溶け込むことで発泡性のワインが出来上がります。
ここではシャンパーニュのつくり方を代表にご紹介します。
1.圧搾
除梗・破砕はせず、ブドウを房ごと圧搾機にかけて果汁のみを集めます。
通常は品種や栽培された畑ごとに圧搾が行われます。
2.アルコール発酵
シャンパーニュのベースとなるスティルワインをつくります。
タンクで発酵させると辛口に、木樽で発酵させるとコクのある味わいになります。
3.アッサンブラージュ
一定の味わいを保持するために、ベースとなる複数の品種や収穫年のスティルワインをブレンドします。
これをノンヴィンテージと呼びます。
4.瓶詰め・リキュール添加
ブレンドしたノンヴィンテージにリキュール(糖液と酵母)を添加し、シャンパーニュの要となる気圧を調節します。
ここで仮の口金(王冠)で栓をします。
5.瓶内二次発酵
瓶内で酵母が糖分を分解し、二次発酵が始まります。
密閉することで発生した炭酸ガスがワインの中に溶け込み、発泡性のワインに変わります。
6.熟成・動瓶
瓶内で最低15ヶ月以上熟成。
熟成後に澱を除去しやすくするため、毎日瓶を回転させながら徐々に角度を変えて倒立させます。
7.澱抜き
瓶口を冷凍液に浸けて凍らせてから栓を抜きます。
すると、ガス圧で凍った澱が飛び出して効率よく取り除くことができます。
8.補酒・打栓
澱抜き後は非常に辛口のためリキュールを添加して甘さを調節することが多いです。
補酒後は栓を打ち、ワイヤーで固定します。
赤ワイン・白ワイン・ロゼの製造方法の違い まとめ
いかがでしたでしょうか。
似てるようで少しずつ違う製造工程の違いをご理解いただけたでしょうか。
短いものでも数ヶ月、長いものであれば数年の熟成期間を経て市場に流通するのがワインの特徴です。
もちろん年代物のワインにも美味しいものが美味しいですが、早飲みタイプのワインでも最近はとても質の多いものが多いので是非色んなワインを試してみてくださいね。
筆者オススメのワインはまた別の機会にご紹介したいと思います。
本記事を通して、少しでもワインに興味を持っていただけたら嬉しいです。
それでは、本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
本日もお疲れ様でした。
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