【勝つための選択】プロスペクト理論から投資を考える

FX

こんにちは。もぎです。

前回、人間の行動心理であるプロスペクト理論についてご紹介しました。
この、”人間の心理からくる損失回避行動”を投資の局面でうまく利用して最大限の利益をあげられないだろうか、という内容です。

 

なぜそのような行動をとってしまうのか、そうならないためにはどうしたらよいか、そこを押さえておけば投資の利益を最大化することが可能です。

 

✔︎こんな人に読んで欲しい

  • 含み益が出た時に、不安からすぐに利確してしまう
  • 一度利確のタイミングを逃すと、利益を全て溶かすまで決済できない
  • 負けているときほど反転を期待してナンピンしてしまう

 

それではいきましょう^^




 

コインの実験からみるプロスペクト理論

実は、前回の記事でご紹介した「コインの実験」には続きがあります。

 

コインの実験とは

あなたはコインのゲームに参加する権利があります。

 

表が出た場合:120万円もらえます
裏が出た場合:60万円を失います
参加しなかった場合は、20万円もらえます
期待値は30万円、極めてあなたに有利なルールで、参加したほうがお得なゲームです。

さて、あなたはゲームに参加しますか?

 

実験結果としては、多くの人が「確実な20万円」を選択します。

 

このようにコインの実験では、人間は合理的な生き物ではなく、ローリスクを好む「リスク回避的な生き物」であることが証明されています。

 

このような理論をプロスペクト理論といいます。

 

コインの実験の続き

あなたは期待値で判断し、先ほどのゲームに参加しました。
結果、コインの裏を引き当てて60万円の損失を被ってしまったところです。

 

しかし、ここでゲームの主催者から最後のゲームの提案を受けました。
内容は、サイコロを振り5か6の目を出した場合は100万円をもらえるというものです。

 

5か6の目が出た場合:100万円もらえます
1〜4の目が出た場合:40万円を失います
もし5か6の目が出た場合、100万円をもらえるので、先ほどの60万円の損失を取り戻せるだけでなく、40万円の利益を得て意気揚々と家に帰ることができます。

しかし、1〜4の目が出た場合はあなたの損失は合計で100万円になります。

 

一方で、第三の選択肢として主催者はこんな選択肢を提示してきました。

最後のゲームに参加しないなら、10万円をもらえる

つまり、あなたが最後のゲームに参加しない場合、50万円の損失を確定させて帰宅することになります。

 

あなたの取りうる選択は3つ、

  1. ゲームに参加し1/3の確率で100万円を得て、40万円の儲けで帰る
  2. ゲームに参加し2/3の確率で40万円を失い、100万円の損失で帰る
  3. ゲームに参加せず、50万円の損失で帰る

 

ゲームに参加した場合の期待値は、

100万円×1/3+(−40万円)×2/3=6.666・・・

 

プロスペクト理論に則れば、人間はリスク回避的な生き物ですので「確実に10万円をもらう」という選択をするはずです。期待値からも妥当な選択ですよね。

 

しかし、不思議なことに「現時点で60万円の損失がある」という状況下においては、人間はつい一発逆転を狙って期待値の低いギャンブルに参加してしまうのです。

 この時の心理状態

50万円の損失を抱えている状態において、ノーリスクの10万円が小さなものに感じられ、魅力的に思えない。
通常、「10万円もらえる」と聞けば、魅力的に思える提案です。しかしすでに損をしている状態では、金銭感覚が麻痺してしまっているのでそうは映らないのです。
過去の失敗などが現在の意識決定に影響を与える心理は、「サンクコスト効果(埋没費用)」として知られています。

プロスペクト理論 まとめ

プロスペクト理論は、人間は基本的にはリスク回避的な生き物ですが、置かれた状況によってその回避度合いは変化することを明らかにしました。

つまり、マイナスの状況を目の前にした時、これから起こりうる損失よりも今抱えている損失を回避するために進んでリスクを取りに行くということです。

 

人は、一度借金をしてしまったり、損失を経験してしまうと、さらなる損失に対する感度が鈍くなり、より大きなリスクを取りにいってしまうのです。

 

1.大切なのは最終的な結果でなく、結果に至るプロセスがどうか

最終的に得られる結果よりも、そこに至るプロセス次第で全く反対の感情を持ってしまうこともわかりました。

 

最初に10万円をもらう⇨ゲームに勝って10万円稼ぐ⇨20万円になって嬉しい
最初に30万円をもらう⇨ゲームに負けて10万円失う⇨20万円になって悲しい

 

こんな具合です。

最終的な結果が同じなのに、心理状態に違いが発生しています。

 

2.利益局面ではリスク回避的であるのに対し、損失局面ではリスク追求的になる

人は、通常であれば確実に利益が取れる選択をする場合でも、すでに損失を抱えている局面においては、今ある損失を取り戻すために進んでリスクを取りにいってしまいます。

 

3.利益獲得による満足感より、損失負担による悔しさを大きく感じる

一般的に、10万円儲かる嬉しさよりも、10万円損する悔しさを大きく感じてしまいます。

 

プロスペクト理論の投資への応用

投資を事例に考えます。

株式投資も外国為替投資も勝つためには、利益を伸ばして損切りを素早く行う「損小利大」が基本戦略です。
ですが、多くの投資家はすぐに利益確定を行い、一方で損切りができずに放置する「利小損大」の投資行動を取っています。

これが、多くの投資家が投資で失敗する理由です。

 

こうなってしまうのには理由があります。

含み益を長く持ち続けられない

一般に、投資した銘柄や通貨が値上がりして利益が大きくなるほど嬉しさがアップします。しかし、利益が一定の水準に達すると、嬉しさの伸びが小さくなり、その後はどれだけ利益が膨らんでも嬉しさはアップしません。利益が出るという嬉しさがカウントストップしてしまうのです。

 

こうした理由から、人は利益がある程度出るとすぐに利益確定をしまいます。
しかし、投資には「トレンド」がありますから、本来は上昇傾向のものほどより上がり続けるものです。

しかし、人には「得ることよりも失うことに対する恐怖がある」こともプロスペクト理論で証明されていますから、「上がる株ほどより上がり続ける」と知っていても「ここまで上がったからそろそろ下がるのではないか?」という恐怖にかられ、手放してしまいます。

損失の感覚は麻痺する

保有していたポジションが値上がりして含み益が100万円になった後、ピークからやや下がって含み益が60万円に目減りすると、心理的に利益確定が難しくなります

 

これは、一度経験した「100万円の含み益」が失われて60万円の含み益になってしまったことで、再び含み益が100万円になることを期待してしまうという心理です。

しかし、価格は既にピークを迎えして値下がりトレンド入りしているわけなので、一刻も早く手放すのが合理的な行動です。

これは、パチンコなどのギャンブルで出た玉がすべて「飲まれ」てしまった後に、(現状は1円も損していない状態なのに)一度出た玉を取り返したくて追加で資金を投入してしまうという現象と同じです。

 

損失の場合は最初に急激な「心理的な辛さ」がやってきます。

しかし、損失の金額が大きくなるほど心理的な痛みが減ってくるため、一定の金額を超えるとそれ以上はどれだけ損失拡大しても「どうでも良い」という状況になります

 

これをプロスペクト理論では「感応度逓減性(かんのうどていげんせい)」といい、利益・損失の大小と心理的な嬉しさ・痛みは比例しないことを示しています。

 

この状態を一言でいうならば「金銭感覚の麻痺」です。金額の大きさや時間の経過が金銭感覚の麻痺を起こします。

プロスペクト理論の投資への応用 まとめ

いかがでしたでしょうか。

投資の経験者の方であれば誰もが経験されたことのある感覚だと思います。
こうした心理は人間に本来的に備わっているものですが、この感覚に従っているとどうやっても投資はうまくいきません。理論として理解しておいて、自分を制することがもっとも大切ですね。

 

今回ご紹介した以外にも、心理学や行動経済学に基づく行動理論についてご紹介していきたいと思いますので、興味があればそちらもご覧ください。

 

それでは、本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。

 

本日もお疲れ様でした。

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