こんにちは。もぎです。
これまで、「仮説思考」と「フレームワーク思考」について解説してきました。
「仮説思考」は、限られた情報から仮説を検証し、何らかの結論を出すための思考法。
出した結論から不足する情報を見極めて、再度検証することで何度もアップデートする必要があります。
「フレームワーク思考」は、一つ上の視点から全体を俯瞰して眺めるための思考法。
既存のフレームワークを使用し、個人の思考のクセを取り払うことで正しく推進する舵となります。
今回は、自分の伝えたいことを単純化して要点をわかりやすく伝えるための「抽象化思考」についてご紹介します。
どんな分厚い参考書もビジネス本も、最大限枝葉を切り捨てて要約すれば30秒で説明可能です。
これを読めば、それくらい無駄を省いて本質を突いた伝え方を身に付けることができます。
抽象化思考がない人の話は端的でない
抽象化思考力が乏しい人の特徴
「要するに何が言いたいの?」
そんな言葉をよく言われる人は、ものごとを抽象化して考える力が不足しているかもしれません。
以下の項目内に複数当てはまるものがある人は、そもそも「抽象化」のイメージがうまく理解できていないかもしれません。
- 自分の業界や職種は専門的だと思っている
- コンセプト・テーマを語るのが苦手
- 大まかに仕事を振られるのが苦手で、細部まで指示してほしい
- 教科書的な一般論よりも、実務に即した具体論が好き
- 常に現場の生の声を重視する
- 何事も具体的に説明してほしい
- 理想論よりも現実を重要視する
- 数学や物理が苦手
良い要約とは
抽象化=要約する力 です。
では、「良い要約」とはどんなものでしょうか。
「要するに何が言いたいの?」と言われる人は、言い換えると「話が長い人」ということになるので、裏返しである「話が長い人」から「良い要約」とは何かを考えてみましょう。
✔︎「話が長い人」の特徴
- 話に抑揚、緩急などのアクセントがなく、単調である
- 話がいつ終わるかが見えない
- 話を聞いても、「結論」や「結局のところ何をしてほしいか」が推測できない
では、なぜこうなるのでしょう?
それは、
- 個々別々の具体的な事象ばかり
- 時系列に沿って
- 目的を考えずに
話しているためです。
これらを考慮して「良い要約」について考えてみると、以下のことが言えるでしょう。
✔︎「良い要約」の特徴
- 抽象度を上げて、話全体のコンセプトを網羅している
- 話が短く、簡潔(可能な限り、枝葉を切り捨てている)
- まとめ方が目的に合致している(次のアクションや、相手に何をしてほしいかが明確)
抽象化思考=端的に話す能力は”エレベータートーク”で鍛える
「要するに何が言いたいのか?」を鍛えるために有効な方法が、”エレベータートーク”と言われるものです。
エレベータートークとは
自分が、会社の社長や役員の直属の部下になったと想定してみましょう。
社長や役員は普段とても忙しいので、頻繁にプロジェクトの進捗を確認することはありませんが、あなたの担当するプロジェクトの成否には当然高い関心を持っています。
そんな社長や役員にエレベーターホールで偶然ばったり、「例のプロジェクトの進捗はどう?」と聞かれたらー?
これがエレベータートークの設定です。
あなたに与えられた時間は、エレベーターに一緒に乗って目的のフロアに着くまでの数十秒しかありません。
この限られた時間で、いかに要領よく話をまとめられるか。
ここに「要するに」の抽象化思考のスキルが凝縮されています。
エレベータートークをクリアするための秘訣
まず伝える対象が、普段からこと細かに情報を共有できていない相手であることを意識しましょう。
当然、「テーマの全体像」を最初に共有する必要があります。
これは前回のフレームワーク思考とも通じる内容です。
あるテーマに対して「全体はこうなっている」と一言で伝えましょう。
これを突然やるのは至難の業なので、そのためにも日常的にこのように考えることが求められます。
自分のやっていることを客観的に全体から眺める「もう一人の自分」の視点を持つことが重要です。
全体を一言で伝えるためのコツ1
✔︎「全体としては何点(何%の進捗率)です」と表現する
自分が説明される立場だと仮定しましょう。
あるテーマについて「100点です」や「60点です」と言われたら、進捗が芳しいのか、そうでないのか、どの程度うまくいっているのかが一瞬で把握できますよね。
全体を一言で伝えるためのコツ2
✔︎「相手にどうしてほしいのか」を必ず明確にする
「問題なく進捗しているため、もうしばらくお時間ください」なのか、「予算に課題があるので、近々相談させてください」なのか、報告を受けた側としてどんな対応を取れば良いのかを明確にしましょう。
ここがわからないと、報告を受けた側は何をしたらよいかわからず不安になります。
一番大切なことなので、必ず伝えるようにしましょう。
話を端的に伝えるための抽象化思考 まとめ
話を端的に伝えるためには、全体を網羅的に要約するスキルが不可欠とお伝えしました。
さらに、そのスキルを鍛えるためにはエレベータートークが役立つことをご紹介しました。
これまでの自分は、話を端的に、網羅的にまとめて伝えることが出来ていたでしょうか?
業務報告やプレゼンテーションにおいて、ある程度の時間を確保できる場合でも、最初から具体性のある話をするのではなく、抽象から具体への流れを意識すると格段にわかりやすいアウトプットになりますよ。
プレゼンテーションや説明が上手になる以外にも、抽象化思考のメリットがあります。
単純に考える(枝葉を切り捨てる)ことで、それまで一見違って見えていたものも、実は同じ構造であることに気づくことができます。
これにより、新しいアイデアの創造に繋がります。
例えば、一見全く共通点のないように見える業界、スポーツや芸能、歴史上の出来事から、自分が働く業界に通ずるアイデアを引用できるかもしれません。
この枝葉を切り落として根幹を見つめるという作業は、例え話をする時にも使われます。
難しい概念や新しい認識を説明するのに、「料理に例えると、、、」「野球に例えると、、、」という言い方をすることがあります。
これは全く別の物を引用しているように見えて、枝葉を切り落とした根幹にある共通項を見出している点で、まさに抽象化の思考の産物と言えます。
例え話の上手い人は抽象化思考に優れている人だということです。
そういった点を理解して抽象化思考のトレーニングを続けると、何か上達へのヒントが見えてくるかもしれません。
それでは、本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
本日もお疲れ様でした。
コメント