こんにちは。もぎです。
以前に、幸運になるためには試行回数を増やす必要があるとお伝えしました。
そして試行回数を増やすためには、試行することへの不安を取り除く必要があることも同時にお伝えしました。
不安傾向が強い人、物事をネガティブに捉えてしまう人は、自分の周りで起こっている物事の変化に気付きにくくなります。
このことは心理学的にも証明されていて、不安を抱えていると、行動する回数が減り、新しい取り組みを試さなくなる傾向があるのです。
そこで今回は、不安を克服するための具体的なテクニックをご紹介します。
運の悪い人ほど不安を感じやすい
そもそも人間の脳には、失敗を重視して不安を感じやすくなる仕組みが本能的に備わっています。
これは、遥か昔の野生の時代に生存競争を繰り返してきた記憶が、本能として残っているためです。
例えば、自分がサバンナで生きる草食動物であると考えた時に、ポジティブで一切の不安を感じなかったとしたら、生き残るために有利に働くでしょうか?
悠々と草を食んでいる間に、いつ肉食動物に襲われるかわかりませんね。
自然界においては、失敗を恐れ、不安を抱き、注意力を分散していた方が、危機を回避し生き残る可能性が高くなります。
しかし、生存のための本能は安全な現代の暮らしにおいては幸せを妨げる働きをすることも多いです。
特に、幸運/不運を左右する要素としては、ネガティブであることはマイナスに働きます。
心理学の研究では、運の悪いことが起こる人たちの共通点として、人よりも不安を感じやすい点が挙げられています。
不安だから、注意力が散漫になって失敗が多くなり、ネガティブな出来事をより強く記憶する傾向が高まり、そうした経験が積み重なって「自分は運が悪い」という認識を形成してしまうのです。
つまり、裏を返せば、この負のサイクルから抜け出すことができれば、自分は幸運だと認識できるようになるとも言えます。
それでは早速、不安に対して強くなる効果が科学的に認められている5つのテクニックをご紹介します。
不安を克服するための5つのテクニック
不運が不運を呼ぶ”ネガティブバイアス”を認識する
バイアスとは、物事をそれまでの経験からくる先入観、固定観念など偏った味方で判断してしまう脳の仕組みのことです。
日常的に多くの情報を瞬時に捌いていく必要のある脳は、「以前はこうだった」「今回もそうだろう」というバイアスを用いて、過去から未来を予測して素早く判断を下せるように発達してきたのです。
ネガティブバイアスはその仕組みの一つで、ポジティブな出来事よりもネガティブなことに対してより敏感に反応する習慣が積み重なり、脳内に構築された回路です。
「自分は運が悪い」と考えがちな人は、ネガティブバイアスの働きが人よりも強いため、否定的な事象に意識が強く引かれる傾向にります。
例えば、
- 街で挙動のおかしい人が前を歩いている
- その人のことが気になり他に意識が向かなくなる
- 通行人にぶつかったり、足元の段差に躓いて転ぶ
といった具合です。
危機回避能力として、ネガティブな事象に注意を向けることそれ自体は大切なことですが、それによって自分がおこなうべきこと、普段意識せずに行っていることへの集中力を欠いてしまうのはいけません。
ですが、これが運の悪い人の思考回路で起こっていることです。
この事実を理解した上で、ネガティブバイアスの存在と、それにより発生する負の連鎖について認識しましょう。
”脱フュージョン”でネガティブ思考を手放す
不安に強くなる方法として、心理療法の現場でも用いられているのが”脱フュージョン”という手法です。
フュージョンとは「混ざり合った」「融合した」という意味です。
そこに「脱」をつけた”脱フュージョン”は、混ざり合った自分の感情からネガティブな要素のみを切り離し、否定的な感情に巻き込まれないようにする効果があります。
具体的な方法として、
- ネガティブな考えに得点をつける
- 不安やネガティブな思考を言葉にして外に出す
などが有効です。
自分への失望に点数をつけると、「今の失望感はだいたい60点」「この間よりはマシだから40点くらい」と一歩引いて自分を客観的に見つめ直すことができます。
また、不安やネガティブな思考を声や文字にして外に出すことでも同じく、客観的に自分を見つめ直すことで内側でモヤモヤ渦巻くネガティブな気持ちを切り離すことができます。
先ほど説明したように、ネガティブバイアスによって発生する自己嫌悪の連鎖を断ち切るのにも客観視という視点は重要です。
失敗ノートをつけて読み返す
自分の失敗、他人の失敗を問わず見聞き、体験失敗した失敗談をノートに書き留めて読み返すことで、同じ失敗を避けることができます。
成功要因は数々の要素の集積で成り立っているのに対して、失敗の原因は比較的わかりやすいことが多いです。
この失敗パターンをはっきりと認識しておくと、同じ轍を踏むことがなくなります。
過去の成功体験にとらわれない
「守株」という故事成語があります。
これは「古い習慣を守って、時節に応じた物事の処理ができない」ことを表す故事成語ですが、人間は往々にして過去の成功体験にとらわれて、たまたま発生した確率的な幸運にすがり「きっとまた上手くいく」と思い込んでしまう生き物です。
しっかりと分析を行った上で、科学的に勝率が高い方を選択するのであれば問題ありませんが、ただ闇雲に過去と同じ成功パターンにすがることはいけません。
偶然起こった成功体験を過信してしまうことの最大の問題点は、本人の直感を曇らせることにあります。
運のいい人と悪い人を比較した研究では、運のいい人が悪い人に比べて、経済上の決断、キャリアの選択、仕事の決断、対人関係のいずれにおいても直感を重要視していることが明らかになっています。
「なんとなく、こっちにした」
「なんとなく、今回はやめておこう」
といった直感は虫の知らせのようなもので、非科学的なものと考える人も多いでしょう。
しかし、こういった直感は、自分の人生で脳がインプットしてきた大量のデータベースの中から、無意識に手がかりやヒントを見つけて自分に知らせているものかもしれません。
「なんとなく」という感覚にも、過去の経験の蓄積からくる根拠や裏付けがあると言えます。
たった一度の大きな成功体験は、これらの過去の集積を上書きしてしまい、ただ一つの正解のような思い込みをしてしまう点で危ういと言えるのです。
自分の人生をコントロールしているという感覚を養う
人間の幸福度は、「人生を自分でコントロールできている」という感覚に比例することがわかっています。
それも、自分自身が成長している、自由度が高まっているという実感を得られる方向に人生をコントロールできている時に、人は最も幸せを感じるのです。
こうした感覚を高めるきっかけになるのが「スリー・グッド・シングス」という手法です。
やり方は簡単で、1日の終わりに「今日良かったこと」を3つあげてノートやメモに書き出すだけです。
どんな小さなことでも構いませんが、新しい経験や自分なりの感覚など、「コンフォート・ゾーン」の外に目を向けた出来事である方が効果的です。
コンフォート・ゾーンはとても居心地が良い場所ですが、変化が乏しく、長く居続ければ居続けるほどそこから出ることに恐怖を感じ不安感を高める可能性があるためです。
このように意識的にグッドシングスを探すことで、1日、1日への期待値が高まり、自然とグッドシングスを探すように脳が変化していきます。
これにより行動、発見することが増えていき、人生をコントロールしていく感覚が養われていきます。
不安を克服するための5つの方法 まとめ
いかがでしたでしょうか。
パナソニックの創業者である松下幸之助さんの採用面接に関する逸話にこんなお話があります。
彼は採用面接の最後に必ず「あなたは運がいいですか?」と質問したそうです。
そこで「運が悪いです」と答えた人はどんなに学歴や面接結果が良くても、採用されませんでした。
「自分は運がいい」と考えている人は、過去の経験からも目の前の出来事からも「自分は運がいい」と思えるものを探す傾向があります。
一方で、「自分は運が悪い」と思い込んでいる人は、過去、現在、未来から「運が悪い証拠」を探す傾向があります。
面接で質問されて「運がいい」と答えられる人も、それまでの全ての道のりが平坦で芳しいものではなかったはずです。
それでも「運がいい」と答えられる人、つまりポジティブな面に目を向けられる人を採用することを重要視していたのかもしれません。
それでは、本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。
本日もお疲れ様でした。
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