現代貨幣理論(MMT)って何?【初心者が初心者のためにわかりやすく解説】

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Finance and financial performance concept illustration

こんにちは。もぎです。

 

先日、友人と会話しているときに政治・経済の話になりました。
確か、「コロナウィルスによる経済の冷え込みへの対応で、政府が国民に現金を支給するらしい・・・」というような文脈だったと思います。

その中で、友人の口から”現代貨幣論”というキーワードが。

何それ??と少し興味を惹かれたので調べてみましたが、なるほど〜。難しくてようわからん。笑

色々調べてなんとなくですが概要を掴めたので、なるべく噛み砕いてごく簡単にご紹介しますね。

本記事では論の是非を問うことはせず、ご紹介に留めておくことにします。




と、その前に、
経済学に置ける3大思想についてご紹介します。

経済学における3大思想

マルクス経済学

ドイツの経済学者、カール・マルクスの提唱した経済思想です。

簡単にいうと、資本主義社会では労働者が賃金以上に働くことで生み出した価値が資本家に搾取されてしまう=不平等

よって自然と資本主義は破綻、崩壊するとし、計画経済による富の再分配を目指しました。

⇨社会主義と親和性あり

ケインズ経済学

イギリスの経済学者、J・M・ケインズにより提唱されました。

市場経済は放っておくと不安定になる

よって、政府による積極的な財政、金策政策が必要
供給が需要を作るのでなく、需要の大きさで総生産量(国民所得)が決まる とされています。

⇨マクロ経済学の誕生
政府の役割を重要視する”リベラリズム”と親和性あり

新古典派経済学

市場経済は放っておけば安定すると唱える説です。

人や企業は合理的に行動し、満足度や利潤を最大化するように振る舞うことを前提に置いた、アダム・スミスの「神の見えざる手」という言葉はあまりにも有名ですね。

⇨ミクロ経済学の誕生
”小さな政府”を目指す自由主義、新自由主義、保守主義との親和性あり

 

上記を踏まえて、現代貨幣理論(MMT)の説明に移りましょう!

現代貨幣理論(MMT)とは?

とても簡単にいうと、「国債をいくらでも発行していいよ〜」という理論です。

いうまでもなく、国債は国の借金です。
つまり、MMT=「国はいくらでも借金してもいいよ〜」という理論になります。

国は借金をして何をするのか?

国は、国債を発行し通貨を獲得することで財政政策を行なっています。
財政政策とは、公共事業を行なったり、社会福祉を実現させたり、補助金などを出すことで経済を刺激することです。

例えば、政府の支出で公園や高速道路を作れば、そこに雇用が生まれます。政府が積極的に支出を増やして公共事業を行えば、より多くの雇用を生み出し、景気は上向くという仕組みです。

しかし、積極的に財政政策をして景気の上向きが加熱すると物価が上昇しインフレ状態になります。インフレ時では人々はさらなる物価の上昇を期待して過剰に消費が刺激され、バブルとなります。
※一方、デフレ時には人々はさらなる物価の低下を期待して買い控えをするため、さらに消費が冷え込みます。これがデフレスパイラルの状態ですね。

現代貨幣理論(MMT)の経済学上の位置付け

先に述べた3つの経済思想のうち、MMTがどこに位置付けられるのか。

言うまでもなく、2つ目の「ケインズ経済学」ですね。

ただ、ケインズ経済学と異なる点は、国がいくらでも借金をしてもいいとは考えていない点です。

ケインズは、不況時には大胆に政府支出を増やすべきだが、経済が軌道に乗ったら増税などによってそれらの赤字を補うべきだという考えを示しました。

現代貨幣理論(MMT)を支える3つの基礎理論

現代貨幣理論(MMT)には、基礎となる3つの理論があります。

  1. 信用貨幣論
  2. 機能的財政論
  3. 租税貨幣論

こちらも、それぞれとても簡単にポイントだけ解説します。

現代貨幣理論基礎1 信用貨幣論

信用貨幣論とは、「貨幣=(発行主体にとっての)負債」論です。理論の全体像を以下で説明します。

  1. 銀行は貨幣を発行できる、特殊な存在(信用創造機能をもつ)
  2. (銀行がいくら貨幣を発行しても)貨幣は借り手がいないと、市場に流通しない
  3. 貨幣の発行は、借り手の返済能力にのみ依存する

1.は「信用創造」と呼ばれるものです。
信用創造とは「銀行は、借り手さえいればいくらでも貨幣を発行できる」という機能です。
なぜなら、借り手の預金口座に「◯◯万円」と”書き込むだけ”で融資が可能だからです。

言い換えれば、「相手の返済能力=信用がある限り、貨幣はいくらでも発行できる」という論です。

信用貨幣論における政府の扱いについて

政府は日銀に口座を持っています。日銀は、国債を引き受けて政府に貨幣を供給します。
※実際のプロセスは、政府小切手などをはさみます

政府は、自国通貨の通貨発行権を有します。
したがって、政府に返済能力がなくなることはありません。
これが現代貨幣理論(MMT)でいう「国債は(インフレ制約以外で)いくらでも発行できる」という結論に繋がります。

現代貨幣理論基礎2 機能的財政論

機能的財政論は、ケインズ学派の経済学者アバ・ラーナーが提唱した理論です。
機能的財政論の示すところは2つだけ。

  1. 不景気やデフレのときは、政府が支出拡大(需要創出)して景気を下支えする
  2. 好景気やインフレが加熱したときは、ビルトイン・スタビライザーや金融引き締めで、インフレ抑制に務める

デフレや不景気は、供給>需要によって起こります。需要が少ないと売上も減り、所得も減ります。
したがって、政府が支出拡大=需要創出=政府が消費するのです。
インフレの加熱は供給<需要大なので、その逆の政策になります。

信用貨幣理論に則れば、政府の負債拡大は「気にしなくて良い」ので、機能的財政論が可能となります。

現代貨幣理論基礎3 租税貨幣論

租税貨幣論とは、簡単にいえば「どうして自国の通貨が、通貨たり得るのか?」を説明したものです。

通貨が通貨足り得るのは以下の理由によります。

  1. 政府は通貨を定め、通貨”のみ”で税を集める
  2. 納税義務の解消は通貨を収めることでしかできないため、人々は通貨を求める
  3. 通貨が通貨として、人々に受け入れられる

簡潔にいえば、徴税権という国家権力の行使こそが国家が定めた国定貨幣を通貨として流通させる原動力となるのです。
これを現代貨幣理論(MMT)では「税が通貨を駆動する」と表現します。



現代貨幣理論(MMT)で何ができる?

基礎理論や用語はこれまでに説明しました。
それでは、現代貨幣理論(MMT)で何ができるのかを解説します。

現代貨幣理論でできること1 均衡財政が不要になる

政府は自身で通貨を発行できます。
したがってインフレ制約以外で、無限に国債発行をできることになります。

均衡財政が必要なくなれば、どのようなことになるのでしょうか?

  1. 経済成長とGDPの拡大
  2. 格差の縮小が可能に
  3. グローバリズムが必要なくなる

報道では「社会保障費が年々拡大」と報じられますが、現代貨幣理論(MMT)では「気にする必要はない。なぜならデフレだから」となります。
不足の災害に備えた予算組みも可能になるし、国防費や各種研究費への投資も可能になります。
ワーキングプアや貧困層への手当も、可能でしょう。

今まで「プライマリー・バランスが!」と進められなかった政策が、全て進められます。
志ある政治家にとっても、国民にとっても、現代貨幣理論(MMT)は非常に有益に見えます。

グローバリズムも必要なくなります。なぜなら今までは「自由貿易! だから貿易協定!」だったのが「景気拡大で輸入量も拡大→現状にあった、win-winな貿易協定を結ぶ」となるからです。

現代貨幣理論でできること2 財政民主主義が確立できる

これまでの日本の経済運営は、主流派経済学である古典経済学派の提唱する「均衡財政」「プライマリー・バランス」に即して行われてきました。
本来は民主主義で、国民と政治家たちが決めるべき財政政策が経済学に制限されていました。

現代貨幣理論(MMT)では「インフレ制約以外に、財政政策への制約はない」としますので、財政政策の主権が、国民に委ねられることになります。

現代貨幣理論(MMT)に対する批判は?

論説の多くは、支持する人間がいれば、批判する人間もいます。

現代貨幣理論における批判にはどんなものがあるでしょうか。

基本的な反論としては以下が挙げられるでしょう。

債務(国債)について、経済の持続可能な成長率が利子率を上回ってしまった場合、債務が雪だるま式に増える可能性がある。
債務は富全体を超えて大きくなることができず、どこかで財政黒字の達成が必要なタイミングが出てくるはずだ。

現代貨幣理論(MMT)では、インフレが行き過ぎれば財政縮小を行えばいいと論じる。
しかし、現実的には増税や予算規模の縮小は困難である。
よってインフレ抑制が効かなくなり、最終的にハイパーインフレを招く。

 

まとめ

さあ、いかがでしたでしょうか。

なるべく簡単にわかりやすく記載したつもりですが、やっぱりちょっと難しいですね。。笑

現代貨幣理論について何一つ知らない筆者が、現代貨幣理論について簡単にご紹介してきましたが、筆者の解釈も多分に含まれますので、一部認識誤りもあるかもしれません。
ご覧になった有識者様、もし誤りありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

興味を持たれた方のためにいくつか書籍紹介などできるように、筆者ももう少し勉強してみます!

 

本記事が経済学への興味の一つになれば幸いです。

 

それでは。

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